ウツボ

Article on other languages:

del.icio.us del.icio.us
Digg Digg
Furl Furl
Reddit Reddit
Rojo Rojo
Add to OnlyWire
ウツボ科 Muraenidae

カリフォルニアモレイ Gymnothorax mordax
分類
界: 動物界 Animalia
門: 脊索動物門 Chordata
亜門: 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱: 魚上綱 Pisciformes
綱: 硬骨魚綱 Osteichthyes
目: ウナギ目 Anguilliformes
亜目: ウツボ亜目 Muraenoidei
科: ウツボ科 Muraenidae
下位分類
本文参照
英名
Moray eel

ウツボ(鱓)は、ウナギ目・ウツボ亜目・ウツボ科(Muraenidae)に分類される魚の総称。熱帯から温帯の浅いに生息する海水魚で、鋭いと大きな口を持つ大型肉食魚でもある。

目次

概要

世界中の熱帯温帯から2亜科・15属・約200種が知られる。日本ではその中の一種 Gymnothorax kidako (Temminck et Schlegel, 1846) に「ウツボ」の和名が当てられるが、他にも多くの種類がある。熱帯系の魚類で、日本の中でも南西諸島には種類が多い。

全長は20cmそこそこの種類から4mに達する種類まで多種多様だが、全長1m前後の種類が多い。他のウナギ目魚類同様に体は前後に細長い円筒形で、腹びれが退化し、背びれ・尾びれ・尻びれが一繋がりになっている。ただしウツボ類は腹びれのみならず胸びれも退化している。また、体はいくらか上下に平たいものが多い。体色は種類によって多種多様で、中にはハナヒゲウツボのように鮮やかな体色のものもいる。

は大きくの後ろまで裂け、鋭いが発達する。種類によっては鼻先が湾曲し、口を完全に閉じることができないものもいる。また魚の鼻孔は左右に2対あるが、ウツボ類は2対の鼻孔が鼻先と目の近くに離れてついている。鼻孔が管状に伸びた種類が多く、ハナヒゲウツボではびら状にもなる。鰓孔は小さくて目立たない。皮膚は厚く、体のみならずまでも覆う。は微小で皮下に埋もれる。

全てが浅いに生息し、特にサンゴ礁や岩礁に種類が多い。一部の種類はマングローブを含む汽水域や淡水域にも侵入する。あまり動かず、岩陰や洞窟に潜んで獲物を待ち伏せるが、夜になると海底近くを泳ぎ回ることもある。食性は肉食性で、魚類、甲殻類頭足類などを大きな口で捕食する。特にタコ類にとっては有力な天敵の一つとなっている。

一方、自分より大きな敵が近づいた時は大きな口を開けて威嚇し、それでも敵が去らない場合は咬みつく。はないが歯は鋭く顎の力も強いので、人間が咬みつかれると深い傷を負うことになる。ウツボ類の分布域では、スキューバダイビング釣りなどの際に十分な注意が必要である。

(但し、見た目のイメージと違い人間に対しそれほど攻撃的ではなくむしろ臆病な性格でもあり、人間の側から無用な攻撃や接近をしない限りは積極的に噛み付いて来る事は少なく、ダイビング中にウツボと遭遇した際にはゆっくりと離れれば攻撃を受ける事は少ない。逆にダイバーがウツボに対して魚の切身や魚肉ソーセージ等の餌を見せると、ゆっくりと巣穴から出てきてそれに喰らいつく姿が見られる事がある。ダイバーに慣れたウツボの中には巣穴から出てきて餌をねだったりする行動も見られ、『水中の友達』の様にダイバーとふれ合うウツボもいる。)

このように危険な肉食魚ではあるが、ウツボ類の周囲にはオトヒメエビアカシマシラヒゲエビゴンズイの若魚、ホンソメワケベラなどの小動物が見られる。これらはウツボ類の皮膚表面や口の中を掃除することでウツボ類と共生しており、ウツボ類もこれらの小動物を捕食することはまずない。

キイロハギ Zebrasoma flavescens に食いついたウツボの一種。2005年12月マウイ島にて撮影
キイロハギ Zebrasoma flavescens に食いついたウツボの一種。2005年12月マウイ島にて撮影
水族館で飼育されているウツボの一種
水族館で飼育されているウツボの一種

分類

背びれと尻びれが体の大半に及ぶウツボ亜科と、ひれが尾端部だけにあるキカイウツボ亜科に分けられる。

ウツボ亜科 Muraeninae
  • Cirrimaxilla
  • アラシウツボ属 Echidna - アラシウツボ、ナミダカワウツボなど
  • コケウツボ属 Enchelycore - トラウツボ、コケウツボなど
  • Enchelynassa
  • ゼブラウツボ属 Gymnomuraena - ゼブラウツボ(1種のみ)
  • ウツボ属 Gymnothorax - ウツボ、ワカウツボ、ニセゴイシウツボ、アミウツボ、ドクウツボなど多数
  • Monopenchelys
  • Muraena
  • モヨウタケウツボ属 Pseudechidna - モヨウタケウツボ(1種のみ)
  • ハナヒゲウツボ属 Rhinomuraena - ハナヒゲウツボ(1種のみ)
  • オナガウツボ属 Strophidon - オナガウツボ
キカイウツボ亜科 Uropterygiinae
  • Anarchias
  • Channomuraena
  • モヨウキカイウツボ属 Scuticaria
  • キカイウツボ属 Uropterygius - キカイウツボなど
大きく口を開けたトラウツボ
大きく口を開けたトラウツボ

おもな種類

ナミダカワウツボ Echidna rhodochilus Bleeker, 1863
全長30cmほどの小型種。インド洋東部から西太平洋の熱帯域に分布するが、日本では西表島だけで生息が確認されている。成魚は全身が紫褐色だが、生きているときは体表が淡緑色の粘液で覆われる。和名はの下に白い斑点があってを流しているように見えることと、汽水域に生息することに由来する。絶滅危惧IA類(CR)環境省レッドリスト
トラウツボ Enchelycore pardalis (Temminck et Schlegel, 1846)
全長90cmほど。鼻孔が管状に伸びて鼻先と目の上にのように突き出る。顎が上下とも湾曲していて口を完全に閉じられず、鋭い歯を剥き出しにする。また、全身に黒褐色で縁取られた白い斑点があるのも特徴で、ウツボよりも鮮やかな体色をしている。インド洋と太平洋の熱帯・温帯域に分布し、日本では本州中部以南に分布するが、沖縄本島以南の琉球列島に分布しない。地方によっては食用にする。
ウツボ Gymnothorax kidako (Temminck et Schlegel, 1846)
全長80cmほど。全身は黒褐色と黄色のまだら模様だが、全体的に見ると幅の狭い横しま模様となり、日本産ウツボ類の中では最も横しま模様が多い。また、尻びれの縁が白いことでよく似たミナミウツボ G. chilospilus Bleeker, 1865と区別できる。本州中部以南から台湾南シナ海まで北西太平洋に広く分布するが、奄美大島以南の琉球列島に分布しない。
地方によっては食用にする。ジャウナギ(伊豆半島)、ヘンビ(和歌山県)、ヒダコ(愛媛県)など多くの方言呼称があり、種小名の kidako神奈川県三崎地区や長崎県での呼称「キダコ」に由来する。
ドクウツボ G. javanicus (Bleeker, 1859)
体長3mの記録がある大型種で、鰓孔が黒いことで近縁種と区別できる。インド洋と太平洋の熱帯域に広く分布し、日本では琉球列島で見られる。食用にもされるが大型個体はシガテラ毒を持つことがある。
モヨウタケウツボ Pseudechidna brummeri (Bleeker, 1858-59)
全長80cmほどで、他のウツボ類よりも体が非常に細長い。頭部に小さな黒点が散らばり、体の割に背びれが高い。西太平洋からインド洋の熱帯域に分布し、日本では琉球列島に分布するが、捕獲例は少ない。
ハナヒゲウツボ Rhinomuraena quaesita Garman, 1888
全長1.2mほどで、他のウツボ類より体が比較的細長い。鼻先の鼻孔がびら状に広がり、さらに下顎にも2本の細い状突起を持つ。雄性先熟の性転換をすることも知られ、全身が黒くて背びれが白い若魚が、体が青く口先と背びれが黄色のオスに成長し、更に全身黄色のメスに成長する。奄美大島以南の西太平洋熱帯域に分布し、サンゴ礁に生息する。
オナガウツボ Strophidon sathete (Hamilton, 1822)
体長4mの記録があり、ウツボ類最長の種類とされる。他のウツボ類よりも体が細長く、体色は淡褐色をしている。インド洋から太平洋の熱帯域に分布し、浅い海の砂泥底に生息するが、汽水域や淡水域に侵入することもある。
岩穴から顔を出すハナヒゲウツボ
岩穴から顔を出すハナヒゲウツボ

利用

釣り延縄、各種のなど、沿岸漁業で漁獲されることがあるが、鋭い歯で網や釣り糸を切断したり、暴れて網をもつれさせたりする上、揚げても咬みついてくる危険が大きい。釣り上げた場合には道糸ごと切断して逃がす釣り人もいる。

ほとんどの地域では利用されないが、食用にする地域も各地に点在し、これらの地方ではウツボも行われている。日本では三重県から四国にかけての地域が中心で、中国では、福建省広東省海南省などで漁が行われている。多くはうつぼ篭、戻り篭、もんどりなどと呼ばれる、餌を入れた長い筒状のを多数海底に沈めておいて捕る。地方により食べ方も異なるが、日本ではウツボ、ドクウツボ、トラウツボなどを漁獲し、湯引きたたき干物蒲焼鍋料理天ぷら佃煮などで食用にされる。ハモと同様に骨切りを行うことが多い。中国の広東料理では、唐揚げスープなどにする。厚い皮と小骨があって調理に手間がかかるが、白身で美味とされている。和歌山県南部では正月料理の食材として珍重される。ただし食用に適さない種類やドクウツボのようにシガテラ毒を持つものもおり、大型個体を食用にする際は咬みつきに加え中毒にも注意が必要となる。

食用以外にも、厚く丈夫な皮膚をなめし、皮革として利用することがある。

また、体色が多種多彩なこと、大きな威嚇の動作をすること、共生動物が多いことなどから、スキューバダイビングなどでは観察や撮影の対象となりやすい。

関連項目

ウィキメディア・コモンズ

This article is from Wikipedia. All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.