|
Article on other languages:
|
ザリガニ(蝲蛄,蜊蛄)は、ザリガニ下目内の淡水性のグループの総称。 分類学的には単一のタクソンではなく、現生のものはザリガニ上科とミナミザリガニ上科に分類される。しかしこの2上科は近縁と思われており、ザリガニは単系統である可能性が高い。 ザリガニが淡水生であるのに対し、アカザエビ上科などザリガニ下目の他の上科は海生であり、通常はザリガニには含めない。しかし、海生のグループと明確に区別するため、淡水生のグループを淡水ザリガニ (freshwater crayfish) と呼ぶこともある。
名称「ザリガニ」は江戸時代の文献から見られ、漢字表記では現在ではほぼ使われていないが「喇蛄」と書かれる。江戸期には異称としてフクカニやイサリカニとも呼ばれていた。 「ザリガニ」の語源は、砂礫質に住むことからジャリガニ(砂利蟹)となったという説や、体内で生成される白色結石から仏舎利を連想してシャリカニからザリガニとなったとする説もあるが、ザリガニの後ずさり行動に由来する「ヰザリガニ(居去り蟹)」が転化してザリガニになったというのが最も有力である。 地方によってはザリガニのことをエビガニと呼ぶ。 アイヌ語においても幾つかの呼称があるが、ホルカ・アムシベやホルカ・イエップなど「後ずさり」を意味する語源が見られる。 英語のクレイフィッシュ (crayfish) のクレイは、古フランス語でカニを意味する語に由来する。 ザリガニとカニ・エビザリガニのハサミは同じ十脚目のカニ(カニ下目)に似た大きな鋏を持ち、名前にもカニが入っているが、ザリガニはザリガニ下目であり、カニ下目ではない。また、十脚目の系統解析はあまり進んでいないが、ザリガニ下目とカニ下目が非常に近縁ということはなさそうである。つまり、大きな鋏はザリガニとカニで独立に進化したようである。 エビとは、十脚目のうちカニ下目やヤドカリ下目を除いた全てとみなされているので、ザリガニはエビだということになる。実際、ザリガニ下目の海生種であるアカザエビなどはエビとみなされる。ただし、エビとは側系統、つまり、十脚目のうち特殊化したグループを取り除いた残りの、原始的形質を共有しているグループ(いわば「その他」)にすぎないので、ザリガニがエビだからといって、全てのエビがザリガニに近縁とは限らない。たとえばクルマエビは、ザリガニからもカニからもイセエビなど多くのエビからも遠縁である。 生息域
主な種日本日本では、北日本の固有種であるアメリカザリガニ科の Cambaroides japonicus (De Haan, 1841) が唯一の在来種である。これに「ザリガニ」の標準和名が充てられ、これを狭義のザリガニとして扱う。 しかし、20世紀初期にアメリカ合衆国からアメリカザリガニ科のアメリカザリガニ、ザリガニ科のウチダザリガニ(亜種もしくは変種にタンカイザリガニ)の2種が移入され、20世紀後半以降はこの中の1種アメリカザリガニ Procambarus clarkii が日本全土に分布を広げた。そのため、21世紀初頭の段階では単に「ザリガニ」といえばアメリカザリガニを指すことが多い。日本固有種のザリガニは、他のザリガニ類と区別するためにニホンザリガニあるいはヤマトザリガニとも呼ばれる。アメリカザリガニの幼少期の色は灰色から青っぽいのが普通であるが、大きくなるにつれ赤みを増す。このため幼少期のアメリカザリガニをニホンザリガニを間違うことがある。 他の地域朝鮮半島にはニホンザリガニと同属のチョウセンザリガニ Cambaroides similis (Koelbel, 1892) が分布する。 ザリガニ科のノーブルクレイフィッシュ Astacus astacus L. は、ヨーロッパで最も普通に見られるザリガニである。 ザリガニ(ニホンザリガニ)
成体の体長は50-60mmほど、稀に70mmに達するが、アメリカザリガニよりは小さい。体色は茶褐色で、アメリカザリガニに比べて体や脚が太く、ずんぐりしている。 かつては北日本の山地の川に多く分布していたが、現在は北海道、青森県、岩手県及び秋田県の1道3県に少数が分布するのみである。なお、秋田県の個体群の一つにはウチダザリガニミミズ Cirrodrilus uchidai (Yamaguchi, 1932) が付着していたことから、北海道から移入された可能性が指摘されている。 川の上流域や山間の湖沼の、水温20度以下の冷たくきれいな水に生息し、巣穴の中にひそむ。おもに広葉樹の落葉を食べる。 繁殖期は春で、メスは直径2-3mmほどの大粒の卵を30-60個ほど産卵する。メスは卵を腹脚に抱え、孵化するまで保護する。孵化した子どもは既に親と同じ形をしており、しばらくはメスの腹脚につかまって過ごすが、やがて親から離れて単独生活を始める。体長4cmになるまで2-3年、繁殖を始めるまでに5年かかる。アメリカザリガニに比べて産卵数も少なく、成長も遅い。 脱皮の前には外骨格(体を覆う殻)の炭酸カルシウムを回収し、胃の中に胃石をつくる。脱皮後に胃石は溶けて、新しい外骨格に吸収される。 個体数が少ない現在ではほとんど食用としないが、モクズガニと同じく肺臓ジストマの一種・ベルツ肺吸虫 Paragonimus pulmonalis (Baelz, 1880) の中間宿主であることがわかっている。よって食用にする際はよく加熱しなければならない。 20世紀前半までは数多く生息していた。食用や釣り餌などのほか、胃石が眼病や肺病などの民間療法の薬として使われていた。しかし1920年-30年頃に移入されたウチダザリガニによる捕食、さらにはこれら外来種のザリガニが持ち込んだ寄生虫や伝染病、河川環境の悪化、採集業者の乱獲などが重なって次々に生息地を追われた。2000年には絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)に指定された。 参考文献
関連項目 |
This article is from Wikipedia. All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.