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チョウザメ (蝶鮫・鱘)は、チョウザメ目チョウザメ科の魚の総称、あるいはその中の一種でかつて日本にも分布した Acipenser medirostris Ayres, 1854 の和名。いわゆる古代魚とされる分類群のひとつでもある。現在確認されているのは26種類に及ぶ。
概要これらは硬骨魚であり、サメの仲間ではない。しかし骨格の殆どが軟骨である。これは硬骨魚類の初期に出現した系統では重厚な鱗などの硬い皮骨が発達する一方で脊椎骨や肋骨などの内骨格は主に軟骨で構成され、後になって出現した系統ほど皮骨が退化するとともに内骨格の硬骨化が進行する傾向にあることと関係がある。また、骨要素によっては祖先は硬骨になっていたものが二次的に軟骨に変化したものもあるのではないかとする学説もある。チョウザメ目に属する軟質類は、硬骨魚類の中でも特に古くに出現した系統のひとつであり、内骨格の硬骨化はほとんど進行していない。 一見サメに似た外形や軟骨の多い内骨格にもかかわらず、系統的にサメとは全く別系統であるため、生理的な機構が異なる部分が多い。例えばサメと異なり浸透圧調節に尿素を使わないので組織中に尿素を蓄積せず、鮮度の落ちた肉が尿素の分解によって生じたアンモニアに起因する臭みを生じないため、世界的に高級食材として扱う地域が多い。この仲間の成魚は淡水・海水・汽水域に生息し、繁殖・産卵だけは淡水域、特に河川に遡上して行われる。成魚の生息場所は種によって異なる。同種でも、春に河川に遡上するものと、夏から秋にかけて遡上するものがあるが、いずれも産卵は春になってからで、後者は遡上した河川で越冬することになる。産卵数は小型のもので数万、大型のもので100万個以上に達する。卵は直径2.7-3.8mmで黒く、小石などに粘着し、約1週間で孵化すると、幼魚は成長しつつ河川を下る。 体長はふつう、 2.5~3.5m程度だか、まれに5m程度になる。寿命が長い種類も多く、飼育記録には120年を超える物も記録に残っている。かつては世界各地に近縁系統の魚が居たことが化石などから伺えるが、他の硬骨魚の新しく出現した系統の繁栄と反比例するように生息域を縮小させ、寒冷な地域に生息する種類のみが現存している。 塩漬け熟成された卵はキャビアとして有名で、肉も食用とされる。特に肉はイギリスに於いて珍重され、古くは「イギリス領海で取れたチョウザメは王室の物」とする法律も施行された(→マゾム)。しかし珍味(美食)としてキャビアを採取するために乱獲されたり、水質汚染により繁殖が困難となったため、絶滅危惧種となっているものが多い。 名前の由来体表にある硬鱗が蝶の形、全体的な形がサメに似ていることから名付けられた。漢字表記(蝶鮫以外)では、「鱘」(魚偏に尋)と表記する。 乱獲・環境汚染と保護特にロシア・カスピ海産のチョウザメ(オオチョウザメ)の卵は、古くより世界各国で最上級のキャビアとして知られている。この産地では旧ソ連時代には計画的に採取されたキャビアが、国営工場で丁寧に加工され、世界各国の食通をうならせていた。 だが近年ではソ連の崩壊後のロシアの政治・経済的な混乱もあって経済マフィアの暗躍による密漁・密輸出の対象にもなっている。2005年末には世界自然保護基金(WWF)のロシア支部がキャビアの消費自粛を訴えると言う事態にもなっており、同地域のチョウザメは14年前の1/40程度という危機的な状態にある。また世界各地のチョウザメ生息域・繁殖域でも水質汚染の影響や産卵場の破壊により、これらの減少が著しい。各国で、保護、資源放流が行われている。日本においては、北海道の大河川に少なくとも2種類のチョウザメが遡上していたと記録されている。アイヌ等の言い伝えから、カルーガ・チョウザメ、天塩川の稚魚のホルマリン標本からミカドイ・チョウザメが生息していたと考えられている。アイヌ語でチョウザメを「ユベ」と呼び、北海道各地には「ユベ××」といった地名が付く場所は、チョウザメに関係した場所と言われる。日本固有種として、キクチチョウザメ (Acipenser kikuchii )、センニンチョウザメ (A. multiscutauts ) の二種が報告されているが、世界的には、前者をチョウコウチョウザメ (A. sinensis )、後者をアムールチョウザメ (A. schrenkii ) のシノニムとする説が有力である。 なお成長すると巨大になること、高温に弱く冷水で飼育する必要があることなどに留意すれば飼育は可能で、古くより各地の水族館で飼育展示されていた他に、一部の好事家が観賞魚(アクアリウム)として水槽やプールで飼育していたケースもあった。さらに、近年では水産業としての養殖も始められている。日本では1989年水産庁養殖研究所がベステル(Bester:雌のオオチョウザメと雄のコチョウザメを交配)の採卵に成功し、その後、宮崎県水産試験場、民間養殖研究会社2社が成功した。(株)サンロックは1994年にシロチョウザメを、1998年にはアムールチョウザメを、1999年にはコチョウザメを、2004年にはべステルのベルーガ、コチョウザメのそれぞれの戻し交配を、2006年にはシベリアチョウザメの生産に成功した。(株)フジキンはロシアチョウザメの採卵に成功している。宮崎県水産試験場は2004年に国産シロチョウザメから、再生産に成功した。その他2箇所で日ベステル稚魚の生産に成功し、各地で養殖が始まっている。 養殖では交雑種であるベステルが食用として飼育されている。これは成長が早く肉が美味であると言われているが、日本で多く養殖されているのは雑種2代目であり、必ずしもこれにあてはまらない。 関連項目 |
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