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ホホジロザメ(頬白鮫、Carcharodon carcharias)は、ネズミザメ目ネズミザメ科ホホジロザメ属に分類されるサメ。本種のみでホホジロザメ属を形成する。別名ホオジロザメ、オオジロザメ。
分布亜熱帯から亜寒帯まで、世界中の海に広く分布する。北はアラスカやカナダ沿岸にも出現した記録がある。アメリカ合衆国や南アフリカ共和国、オーストラリア、ニュージーランドの周辺海域、地中海等で多く見られる。日本近海にも分布する。 形態平均的なホホジロザメの体長は4.0-4.8 m、体重680-1100kg である。しかし最大体長および体重に関しては諸説あり、未だ見解は一致していない。体長11mを越える巨大な個体も報告されているが、専門家の意見では体長6m、体重1900kg程度が最大と見積もられている。但し、推定値ではあるが、台湾沖やオーストラリア沖などで、頭部の大きさなどから体長7m以上、体重2500kg以上と推定される個体が捕獲されたこともある。体型はがっしりとした流線紡錘型で、背側は濃灰色から黒色、腹側は白色である。体色を背側から腹側へ見ると、グラデーションではなく、1本の線ではっきりと分けられている。 側頭部が白いことが和名の由来。尾鰭は上下の長さがほぼ等しい三日月型。胸鰭裏側の先端部には大きな黒斑がある。大きさや体型がウバザメに似ており、遠くから見ると間違われることもある。 非常に鋭利な歯は正三角形で、長さは7.5cmある。縁はのこぎりのようにギザギザになっており(鋸歯(きょし)状縁)、皮や筋肉を切断するのに適した形状である。ホホジロザメは獲物から一度に約14kgの肉塊を食いちぎることができるという。歯列は3段あり、歯が1本でも欠けたり抜け落ちたりすると、すぐに後ろの歯列がせり上がってきて古い歯列を押し出す。これはサメ類に共通の特徴であるが、歯は何回でも生え変わる。 獲物の肉を食いちぎるときに欠けた歯を肉塊と一緒に飲み込むことがあり、それが内臓を傷つける場合もあると言われる。またホホジロザメはよくエイを食べるが、エイの棘が内臓に引っかかることも珍しくない。 生態主に沿岸域の表層付近を泳ぐ。沖合から海岸線付近まで近づくこともある。海表面近くにいることもあるが、250mより深いところにも潜る。アザラシやオットセイの繁殖地の周辺海域に集まることが多い。 普段はゆったりと泳いでいるが、瞬間的にはかなりのスピードで泳ぐことができ、最高遊泳速度は時速25-35 km 程度と言われる。また海面から体が完全に飛び出すジャンプを行うことが可能で、これに相当する運動能力は、他のサメでは高速遊泳を行うことで知られるアオザメやオナガザメに見られるくらいである。運動能力の高さは、奇網と呼ばれる毛細血管の熱交換システムを発達させていることによる。これにより体温を海水温よりも高く保っておくことができる。 非常にパワーがあり機動力も兼ね備えているが、俊敏性にはやや欠けるため、奇襲攻撃を得意としている。また、ホホジロザメは歯を大事にしていることが最近の研究で判明し、獲物に喰いついて大ダメージを与えたのち放し、出血多量で弱って致死するのを待つ、という手法が用いられていることが確認されている。 また学習能力に優れている事が近年の研究で判明し、獲物を襲う際には過去の成功と失敗の経験を生かすと言われている。 海面を泳ぎながら顔を出し、体を横に回転させながら口を開けたり閉じたりする行動が見られる。英語では、repetitive aerial gaping と呼ばれるこの行動は、他のサメには見られないホホジロザメに特徴的なものである。 天敵は人間やシャチ、他の大型のサメである。大型のサメは比較的小型のホホジロザメを捕食することもあり、また、同じホホジロザメ同士でも、より大型の個体が小型の個体を捕食することもある。シャチに関しては状況によってホホジロザメを攻撃することはあるものの、基本的には積極的に攻撃や捕食の対象にしてはいないと見られている。シャチといえども、大型で獰猛なホホジロザメを攻撃する場合は、返り討ちに遭うリスクを伴ううえ、そこまでのリスクを冒さなくとも、他の生物を捕食すれば済むからであろう。ただし、子供を連れているシャチは子供に対する危険を除去する目的で積極的に攻撃を仕掛けてホホジロザメを殺害する例が幾度も観察されている。また、捕食の対象となるハンドウイルカの子イルカを襲う際、それを守ろうとする成体のバンドウイルカがサメを攻撃する例も目撃されている(内臓を守る硬い骨格を持たないサメに体当たりし、内臓を破裂させて死に至らしめることがある)。シャチやイルカ等に比べると知能はあまり高くないが、近年の研究で社会性を持っていることが判明し、仲間内で多彩な行動を取り、獲物を分ける行動も確認されている。空腹でない限りは何も襲わず、こちらから危害を加えなければ何もしてこない。 食性は動物食で、イルカやオットセイ、アザラシなどの海産哺乳類を好み、魚類や海鳥も捕食する。クジラの死骸を食べることもある。南アフリカ沿岸のホホジロザメは、海面を泳ぐミナミアフリカオットセイを狙ってジャンプすることで有名。 卵胎生で、子宮の中で卵から孵化した胎仔は、母親の未受精卵を食べて育つ。雌は1度に2 ~15尾前後の子どもを産む。妊娠期間については知られていない。産まれた子どもは体長1.2-1.5 m の大きさで、しばらくは魚を中心に捕食し、大きくなると海産哺乳類を食べるようになる。 分類ホホジロザメ属 Carcharodonの現生種は、ホホジロザメ C. carcharias 1種のみ。
人間との関係人にとって、襲われれば最も危険なサメであり、世界中で死傷事故が発生している。サーフィンの最中や、貝などの漁で潜水しているとき、海水浴場での遊泳中に襲われる場合が多い。海とつながった湖で襲われた例もある。噛み付かれると致命傷になることがしばしばあり、死に至らなくとも手足を切断されるような重傷を負うことがある。 世界中の海の沿岸域に生息しており、全てのサメの中でも人や船を襲った記録がかなり多い方で、さらに映画『ジョーズ』のモデルとなって以来、悪名高き人喰いザメというイメージが多くの人に定着した。俗称Man eater sharkとも呼ばれるほどである。このようなこともあって、サメの中では世界最大のジンベエザメと並んで一般によく知られている。「サメ」と言えば、大口を開けたホホジロザメがイメージされることも多い。 世界のホホジロザメによる事故1876年 ~2004年の間に確認された人身事故は224件あり、その内63件が死亡事故である。場所別に見ると、アメリカ西海岸が最も多く84件(7件)、次が南アフリカで47件(8件)、3番目はオーストラリアで41件(27件)(括弧内は死亡事故)。他に、地中海やニュージーランドでの被害も多い。 日本のホホジロザメによる事故
日本では他に、2000年に1件の死亡事故が確認されている。また、上記のデータは国際サメ被害目録によるものであり、他にも未確認の事故が存在する可能性がある。 ホホジロザメの目撃例
なぜ人を襲うのか人にとって脅威となるのは、巨大な体、大きな顎、鋭い歯をもち、泳ぐのが速く、獲物の探知に優れているなど捕食者としての能力が高いことである。とくに歯は鋸歯状縁で、肉などを簡単に切り裂くことができる。人を襲うのも4~5m級の大型個体が多い。また、人との接触の機会が多いことも事故が起こる要因の一つである。ホホジロザメは温帯から亜寒帯の海に生息し、かなり冷たい水温にも耐えられる。時期によっては亜熱帯海域にまで進出する。さらに沿岸域の浅い所で生活し、昼行性であるため、人の活動時間・空間ともに重なることが多い。 本種はアザラシやオットセイなどの海産哺乳類を常食としており、とくにアザラシと人間を見間違えて襲うという意見が一般的である。サーフィン板等の上で腹ばいになり水をかく人間の動きや、ウェットスーツを着て足をバタつかせる姿が、下から見上げるとアザラシに見える為であり、ホホジロザメなどの大型サメの噛み付きは人にとって簡単に致命傷となる。 有力な対策として、
黒と白の縞模様など、なるべく明るい色の入ったものが望ましい。鮫は明暗が分かるので、アザラシなどと勘違いされることを避けることができるとされている。
鮫は嗅覚がとても優れているので、匂いがすればすぐに寄って来る可能性がある。現に生理中の女性が沖で泳いでいたら襲われて死亡した事故もある。 サメにより人が襲われる事故は、例えばオーストラリアだけで1791年から2006年までの約200年間に668件発生しており、その内191人が死亡している。 保護フカヒレ漁等の乱獲、人食いザメとして駆除される等の影響で生息数は激減している。オーストラリア、南アフリカ、アメリカ合衆国のカリフォルニア州、マルタでは保護種に指定されている。資源量や生態は未知の部分も多い。 飼育飼育が難しいとされてきたが、米モントレー水族館で若い雌の飼育を198日間行った。 その後この個体は海へ返されている。 飼育を断念したのは、成長に従って水槽内の他の魚への危険が増したためであると水族館側は説明している。 関連作品スティーブン・スピルバーグ監督の出世作である映画「JAWS」に登場する「人喰いザメ」も、このサメである(ただし「体長8m/体重3000kg」という、正式には確認されていない大きさの設定である)。 参考文献
関連項目外部リンク
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