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イネ(稲、禾)は、イネ科 イネ属の植物。稲禾(とうか)や禾稲(かとう)ともいう。学名は Oryza sativa (アジアイネ・サティバ)。 本来は多年生植物であるが、食用作物化の過程で、一年生植物となったものがある(後述のインディカ種に見られる)。また、多年型でも2年目以降は収穫量が激減するので、年を越えての栽培は行わないのが普通である。よって栽培上は一年生植物として扱う。 用水量が少ない土壌で栽培可能なイネを陸稲(りくとう、おかぼ)と呼ぶ。
概要
頭を垂れる稲穂 ジャポニカ種コシヒカリ系 2007.8.29
アジアを始めとして、ヨーロッパ、南北アメリカ大陸で栽培される作物。稲には、この外に、西アフリカを中心に栽培されている O. glaberrima (アフリカイネ・グラベリマ)があるが、通常「稲」と言う場合は、 O. sativa を指す。なお、 O. glaberrima は一年生植物である。祖先はアジアやオセアニアに自生する O. rufipogon と推定されている。これら栽培稲に対して、野生稲 (O. australiensis) も存在する。 日本への伝播と普及稲の栽培(稲作)が日本列島に伝わった経路については3つの説があるが、その時期は縄文時代だと考えられている(稲作の歴史などは、稲作参照)。また、米を発酵させて醸造酒とする醸造法も、ほぼ同時に中国大陸から伝来したものと考えられている(日本酒の歴史参照)。 稲は北海道北部を除く日本全土に広まり、現在、北は亜寒帯に属する北海道から亜熱帯に属する沖縄県まで、広い地域で栽培されている。 形態風媒花に分類されるが、開花時間が午前中から昼ごろまでの2-3時間と短く、ほとんどが自家受粉する。花は、頴花(えいか)と呼ばれ、開花前後の外観は緑色をした籾(もみ)そのものである。 農業上、種子として使われる籾は、生物学上の果実である玄米を穎(=籾殻:もみがら)が包んでいるもの。白米は、玄米から糠(ぬか)層、胚など取り除いた、胚乳の一部である。 生態型から、ジャポニカ(ヤポニカ)種 Oryza sativa subsp. japonica(日本型)とインディカ種 Oryza sativa subsp. indica (インド型)の亜種に分類される。また、更に ジャバニカ種 Oryza sativa subsp. javanica (ジャワ型)を区別する分類もある。 インディカ種は一年生型が多い。これは、インディカ種が栽培される地域では二期作が一般的であり、1度穂を付けた個体は、収量が落ちる2回目以降の出穂は不要となるため、栽培上一年生変異種の選別が行われたと考えられている(1度穂を付けても、なお生き残っている個体は単なる雑草)。 本項冒頭のアフリカ種 (O. glaberrima) が一年生のみなのは、同様な理由と考えられている。 ジャポニカ種は、1年に1回の収穫で、冬季の寒さが厳しく越冬が難しい高緯度地方で栽培されているため、このような変異種の選別は行われなかったようである。 うるち(粳)性ともち(糯)性一般的な品種日本国内の品種うるち日本国内における代表的な栽培品種は以下の通り(2005年の作付面積順)[1]。
その他、比較的名前が知られている品種として、日本晴・ササニシキ・どまんなかなどがある。1980年代に良食味品種として代表格であったササニシキ・コシヒカリは互いに近縁の関係にあり[2]、両品種以降の後の良食味米は多くはコシヒカリの遺伝子を引き継いでいる。 日本で栽培される稲は遺伝的に近縁の品種が多い。そのため、天候不良や特定の病虫害によって大きく収量を落とす可能性がある。従って、食料の安定生産という観点からより多くの遺伝資源を利用した品種改良が必要である。 もち詳細はもち米を参照 酒米詳細は酒米を参照 観賞用一般的には知られていないが、イネには食用米品種以外に観賞用品種が存在する[3]。観賞用イネは米を収穫することが目的ではなく、鮮やかに染まった葉や穂を鑑賞して楽しむためのイネである。切り花やドライフラワーなどに適している。
日本以外の品種
特殊な稲以上のような特殊な稲は栽培にあたって留意が必要である。一般的な品種を栽培している田に隣接する場所で栽培すると他品種同士で自然交雑し、収穫された米の品質が低下する可能性があるためである。 その他の米
栽培イネ(稲)の栽培を稲作(いなさく)という。 栽培する土地を田または田んぼといい、特に水を張っている田を指して水田(すいでん)ともいう。 水田で育成されたものを水稲(すいとう)、畠で育成されたものを陸稲(りくとう・おかぼ)と呼ぶ。日本では、近年では陸稲は少なくなっている。(陸稲は栽培に水が少なくてすむが面積あたりの収穫量が水稲より少なく連作障害が発生する) 水稲は収穫までの間に大量の水を使うが、そのため地力の低下が小さく、連作できる。 イネは熱帯原産なので、その栽培には温暖湿潤の気候が適しているが、寒冷地向けの品種が作出されその栽培法が確立したため、寒冷地での栽培も可能となった。 日本では、現在では総生産高のうち、北海道および東北地方が占める割合が最も大きい。しかし、1931年(昭和6年)、並河成資によって世界初の寒冷地用水稲・早稲である農林1号の育成が成功するまでは、現在米どころとされている新潟、山形、秋田など冷涼地の晩稲は「鳥またぎ」とされ、食味では台湾米の比するところではなかった。 稲には亜種や近隣種が多いために予期せぬ雑種交配が起こる事がある。特に東南アジアにおいては顕著である。日本では雑種交配を防止するため、耕作地周辺を頻繁な雑草刈りで予防している。 食用稲栽培において最大の障害は「稲の野草種」である。栽培する食用稲同様水田を好み、除草剤も強力過ぎると食用稲自体全滅してしまう。東南アジアでは特に顕著で、食用稲の生産性向上の課題となっている。 主要病害虫
品種改良交配法による突然変異による
モデル植物研究イネは、生物学や農学において、植物のモデル生物として用いられている。イネは主要穀物の中ではゲノムサイズが小さく(トウモロコシの1/6、小麦の1/40)、穀物の遺伝情報を知る上でモデルとして好適とされる。ゲノム研究所 (TIGR) やイネゲノム研究プログラム (RGP) などで、ゲノムプロジェクトが進行しており、イネゲノムの塩基配列は、2002年12月に重要部分の解読が完了し、2004年12月には完全解読が達成されている[5][6]。完全解読は、植物ではシロイヌナズナに続いて2番目、単子葉植物では初めてである。 稲に関わる語彙
脚注
関連項目
五円硬貨の表には稲穂がデザインされている。
参考文献
外部リンク
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