繰延資産

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繰延資産(くりのべしさん、deferred assets)とは、資産の種類の1つで企業の開業費や 商品の開発費などが含まれる。

繰延資産は、支払った費用のなかで、将来にわたって企業に利益をもたらすと考えられるものを指す。要するに「交通費みたいに形には残らない費用だけど、建物や機械みたいに将来にわたって利益を生む可能性があるものを資産としておこう」というものである。

目次

定義

繰延資産とは、将来の期間に影響する特定の費用であって、次期以後の期間に配分して処理するため、経過的に貸借対照表の資産の部に記載された資産をいう。(企業会計原則 3-1-D)。

将来の期間に影響する特定の費用

将来の期間に影響する特定の費用とは、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう(企業会計原則注解・注15)。

旧商法上の取り扱い

商法施行規則は、繰延資産を、創立費、開業費、研究費、開発費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金、建設利息の8つに限定しており、その計上も任意とし(資産計上してもよいし、支出した期に全額を費用として処理してもよい)、さらに、資産計上したときは、比較的短期間(最長で5年。社債発行差金を除く)での期割償却を要請していた。(商法施行規則第35条~第41条。企業会計原則でも、これに対応する8つの繰延資産が列挙されている。3-4-(1)-C

これは、商法が債権者保護のための静態論的会計思考に基づいているからであり、同思考からは、資産は財産性、すなわち換金性をもっていることが要請されるからである。つまり、債権者を保護するためには、貸借対照表において、企業の債務弁済力の表示が必要となるため、財産性のない資産(換金不能の資産)を貸借対照表へ計上することは同法の立場からは本来認められないということである。

しかし、今日の会計思考が動態論的思考へと変化していることとのバランスから、同法においても、繰延資産の計上を条件付きで容認したのである。

新会社法上の取り扱い

2005年の商法改正にともない、繰延資産は会社法で扱われることになったが、繰延資産の限定列挙が廃止され、計上については会計慣行に委ねられることとなった。(会社計算規則 第106条第3項第5号)

そこで、企業会計基準委員会は2006年年8月11日に、「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」を公表し、株式交付費、社債発行費等(新株予約権発行費を含む)、創立費、開業費、開発費の5つを繰延資産と定めた。

旧商法の研究費、社債発行差金、建設利息は繰延資産から廃止され、新株発行費は株式交付費とされた。

種類 内容 償却期間 英文
創立費 設立登記までに要した費用。発起人への報酬、設立登記の登録免許税等 5年 inaugural expenses/promotion expense
開業費 設立登記後営業開始までに要した費用 5年 business commencement expense/initial cost of business
開発費 新技術、新資源の開発、新市場の開拓に要した費用 5年 research and development expenditures
株式交付費 会社設立後、新たに株式を発行するために要した費用 3年 share issuing expense
社債発行費 社債発行に要した費用 社債の償還期限内 bond expense/bond issue cost

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